初心者の為のチヌ釣り講座④底を釣るか浮かせるか

7、8年前のちょうどのっこみの時期に、呼子の波戸岬海中展望台にチヌ(黒鯛)の観察に行った事がある。
予想以上の100匹をはるかに超える数のチヌがいて驚いた。しかも予想に反して海底付近にいるチヌは少なかった。

 

波止岬

 

ほとんどが底から1~3メートルのあたりにいて、中層には数匹の姿が見える程度だった。
もちろんあそこは餌を吊るしてあるので自然な状態ではないが、網で囲っている訳ではないので自然の餌付けをしている状態だと言える。
撒き餌をした場合のチヌの遊泳層はだいたいこんな感じなんだろうと思った。

(唐津市呼子の波戸岬海中展望台)

 

 

クロダイは下から探るのが基本

クロダイ

「チヌは底を釣れ」という言葉があるが、私は今でも初めて行った場所ではタナとりオモリで水深を測ることが多い。
遠矢ウキで有名なチヌ釣りの巨匠、遠矢国利さんもそうらしい。

現在のチヌ釣りは浮かせて釣る感覚が強いし、実際チヌは撒き餌である程度浮いてくる。

 

が、もともと水深がない場所は別として、(浅茅湾の様に例外はあるが)水深があるところでクロのように海面近くまで浮いてくるわけではないし、基本的にチヌは低付近をを泳ぐ魚だという事を忘れてはいけない。

私の場合はそれでキッチリ底を釣る訳では無く、まずは底から少々上のタナをベンチマークとしている。
底には岩や割れ目や海草があるので、その陰につけ餌が隠れてしまってはチヌが発見しにくいので少し上を付け餌が漂うイメージ。
どのくらい底を切るかというと、海底の凸凹や海草が多い場合は底から1ヒロ、凹凸がさほど激しくない場所では半ピロを目安にしている。

 

ザックリ言うと、竿1本半の水深(約8メートル)の場合、チヌが浮いてくる上限を底からだいたい4メートルくらいだろうと仮定したとする。
ベンチマークが底から1ヒロの場合なら、底から1ヒロ~3ヒロ(約1.5~4.5メートル)の間を探ってみるが、この場合、下からタナを徐々に上げていくので3ヒロまで上げることは少ない。

ベラが釣れればタナは合っていると思っていいが、ベラばかりなら少しずつタナをあげてみる。逆に活性が悪く、餌を取られないようならもっと下げてみる。凹凸が少なく根がかりが少ないようなところでは底に這わせる事もある。
特に、海底が砂地ようなところはでは砂の中の虫を探しているので、チヌは底べったりという事が多い。

 

向島でチヌ

 

要するに下から探るほうが効率がいいということだ。
ただ、チヌはいつも底にいるというわけではなく、時期や潮の流れ、水温、潮位、時間帯によって常にタナは変わってくるし、固体によって遊泳層が異なる場合もある。

通常は大型のチヌはあまり浮いてこないので、小型より下の層にいることが多いことはご存知だろう。
しかし、沖から入ってきたチヌは低水温に弱いので底に張り付いていても、地付きのチヌは寒さに強いので活性が落ちず浮いてくるということもある。同じ場所で釣っていても全く違うタナで釣れたりする時はそういうことだろう。

 

対馬のチヌは水深30メートルから浮いてくる!

先ほど例外があると言ったが、こんな事を目撃した事がある。
巨チヌスポットとしてこの時期熱い、対馬の浅茅湾は真珠の養殖棚が多いところで、リアス式海岸のため水深が深く、真珠棚の下でも20~40メートル以上の水深がある。

真珠の養殖業者はこの時期真珠貝の掃除をするのだが、海上で貝殻についた小さい貝やホヤやそれについてる虫を落としていく。
そうすると水深が30メートル以上もあるにもかかわらず、チヌや真鯛が海面近くまでわいてきた!
養殖の魚に餌をやってるような光景に驚いたが、養殖業者にとっては珍しい光景ではない。

 

対馬浅茅湾の無人島

(対馬浅茅湾の真珠棚)

ここで、この時期浅いところにいるはずのチヌが何でそんな深いところにいるのか? と言う疑問が出てくると思うが、それには浅茅湾独特の地形が関係している。
浅茅湾は適度な水深で海底に変化があり、海草が茂っているような場所が少なく、足元は極端に浅くても少し先から一気に落ち込んでいるところが多い。

だから、満潮回りでは超浅場までくるがあとは深いところにいる事が多くなるし、真珠棚のおかげで深くても餌がある。

また、養殖イケスの近くもそうだが、魚は船が来たら餌が落ちてくることを知っているので船の音は魚を散らすどころか、反対に寄ってくる。
真珠棚でカセ釣りをするときはわざと船のエンジンを掛けたまま釣ることがあるが、これは魚の条件反射を利用したもので、鯉に餌をやるときに手をたたくのと似たようなものかな??

次回はチヌのポイント別攻略法の予定

 

もちろんお代はいただきません   ^^;