沖ノ島は神の島

「神の島」とも呼ばれる沖ノ島(おきのしま)は、福岡市の北北西80km程に位置し、玄界灘の真っ只中に浮かぶ、周囲4kmの小さな島です。
島内には宗像大社沖津宮の社務所があり、沖ノ島の現在の住人は沖津宮の神職1人だけで、神職は10日交代で常駐しています。

 

福岡 沖ノ島

 

玄界灘の真っ只中に浮かぶ孤島であるため、荒天時などに付近を航行中の船が避難できるよう港湾設備が整備されていて「避難港」と呼ばれています。
そうした際に寄港して上陸する場合にも、社務所に許可を取って禊をすることが必要です。

 

沖ノ島の掟

沖ノ島は福岡県宗像市にある宗像大社の神領で、島全体が御神体とされ、今でも女人禁制の伝統が守られています。
男性でも上陸が許されるのは、通常は毎年5月27日に日本海海戦を記念し開かれる現地大祭のときだけです。

現地大祭は神事の一環として行われるもので、上陸する際は前日に筑前大島の中津宮に参拝して事前の手続きを受け、現地に着いたあとは裸で海に入って禊(みそぎ)をしなくてはなりません。

沖ノ島には古くから三つの掟(おきて)があります。
・女人禁制
・島内の湧き水(ご神水)以外は「一草一木」たりとも持ち帰ってはならない。
・沖ノ島で見聞きしたことを話してはならない。

これは沖ノ島本島内に上陸する場合のことですから、本島回りの磯で釣りをする為にみそぎをする必要はありません。
もちろん、みんな釣った魚は持って帰って大丈夫です。

 

沖ノ島避難港

(沖ノ島本島:避難港)

 

沖ノ島釣行記録はこちら

 

海の正倉院

沖ノ島での発掘調査が昭和29年~昭和46年まで行われ、23の古代祭祀跡から約8万点の神宝類が出土(そのほか約2万点の縄文時代、弥生時代の遺物が出土)され、平成18年に古代祭祀遺物すべてが国宝に指定されました。
沖ノ島が「海の正倉院」と言われる所以です。

 

沖ノ島の国宝

 

ご存知のように奈良の正倉院は世界遺産です。それなら沖ノ島も世界遺産に指定されれもおかしくないわけですが、著名な考古学者の吉村作治氏の呼びかけで、宗像地方を中心に沖ノ島世界遺産化運動が現在行われています。

2008年現在では世界遺産の暫定リストに入っており、その重要性が世界に知られるようになっていますが、我々沖ノ島ファンの釣り人にとってはあまり嬉しいことではありません。

 

貴重な動植物

沖の島は亜熱帯性植物の北限にあたりますが、古来よりられ立ち入りが厳しく制限されてきたため、各種の亜熱帯性植物が生い茂り、島を覆う照葉樹林は数千年前の姿をいまに残していると言われ、この原生林は天然記念物に指定されています。

島の周囲は侵食された岩で囲まれていて、鬱蒼とした森と対馬海流が育む魚たちによって島は野鳥の繁殖地になっています。
オーストラリアや東南アジアから渡ってくる10万羽のオオミズナギドリをはじめ、オナガガモノビタキ、絶滅が心配されているヒメクロウミツバメなど14種の繁殖が確認されています。

沖ノ島の瀬渡しは前夜8時か9時頃の出航なので、夜釣りと早朝の釣りがメインになりますが、夜が明ける2~3時間も前からこの鳥たちが鳴きだしてうるさいほどです。